知ると楽しい動物の話:ネコなのに頭まで潜水するスナドリネコ

スナドリネコは実は日本に5箇所しかいない超レア種

スナドリネコ(和名は漁猫):食肉目ネコ科ベンガルヤマネコ属
英語名:Fishing Cat 学名:Prionailurus viverrinus
撮影場所は:神戸どうぶつ王国

今日は、動物園でもめったにお目にかかれない『スナドリネコ』の、水かきだけじゃない驚きの生態です。
・まずびっくりするのが ネコなのに「頭まで完全に水に潜る」
イエネコは濡れるのを嫌いますが、スナドリネコは潜水が大好きです。水が入らないように耳をペタンと閉じ、頭まで完全に水中にダイブして口で魚を仕留めます。肌に密着したアンダーコート(下毛)が超高性能なウェットスーツの役割を果たし、皮膚まで水が染み込みません。

・そして 魚を騙して呼び寄せる「嘘の波紋」
彼らはただ水辺で魚を待つのではありません。水面に前足の先をちょんちょんと優しく叩き、「虫が水面に落ちて溺れているような波紋」を意図的に作り出します。それに騙されて寄ってきた魚を、一瞬で水中からすくい上げる知能犯です。

コア雑学③:爪が引っ込まない「犬のようなネコ」
ネコといえば爪を完全に出し入れできますが、スナドリネコは構造上、爪が半分くらい出っぱなしになっています(半格納式)。これは泥の中を歩くときに滑り止め(スパイク)の役割を果たすためで、ここもイヌ(ヤブイヌ)に近い進化を遂げています。

現在、日本国内でスナドリネコに会える施設は、全国で鳥羽水族館、神戸どうぶつ王国、東山動植物園、のいち動物公園、千葉市動物公園のわずか5箇所しかありません。

スナドリネコの生息地である東南アジアの湿地減少で生息数が減っています。
動物園での種の保存が大切だと考えられます。

「スナドリネコ(漁り猫)」という名前の、意外すぎる名付け親

この動物の英語名は「Fishing cat(フィッシングキャット)」ですが、これを「スナドリネコ」という美しい日本語(和名)に訳した人物が誰だかご存知でしょうか?

実は、名古屋市にある「東山動物園」の初代園長である北王英一さんという方です。
古語で魚や貝を獲ることを「漁(すなど)る」と言いますが、昭和初期にこのネコが日本に初めてやってきた際、その見事な魚捕りのポーズを見て、彼が「スナドリネコ」と命名しました。
この名前の響き自体が、日本の動物園の歴史と深く結びついているストーリーです。