ペットショップではお目にかかれない中国原産の犬種をご紹介

「世界一珍しい犬」としてギネスブックに載ったことがあるほど、絶滅の危機を乗り越えてきたドラマチックな歴史を持っています。
紀元前から中国南部に存在し、一時期は思想統制の影響で激減しましたが、香港やアメリカのブリーダーたちの手によって守られ、現在の姿に繋がっています。
なぜシワシワの犬種を作った?
1. 噛まれても反撃できる「最強の防具」
シャー・ペイは、中国の農村でイノシシ猟や番犬、そして闘犬(犬同士を戦わせる競技)として活躍していました。
- 皮膚がたるんでいるメリット:他の犬や猛獣に首元をガブリと噛まれても、皮膚が伸びるため、中の筋肉や血管、内臓まで牙が届きません。
- 噛まれたまま反撃できる:敵の口に皮膚を噛みつかせた状態のまま、シャー・ペイはたるんだ皮膚の中で自分の体を「くるり」と反転させ、相手に噛み返すことができました。 [1]
さらに、毛並みが「紙やすり」のように硬くチクチクしているため、相手の犬がくわえ込みにくいという二重の防御機能を持っています。
2. 人間の「見た目のこだわり」によるブリーディング
もともと中国にいた伝統的なシャー・ペイは、今ほど全身シワシワではありませんでした(顔や首まわりにある程度あるくらいでした)。
しかし1970年代、絶滅寸前だったシャー・ペイがアメリカに渡ると、その独特な見た目が大ブームになります。
そこでアメリカのブリーダーたちが、「もっとシワが多い方が可愛い」「個性的で売れる」と考え、シワの多い個体同士を人工的に掛け合わせました。その結果、現在私たちがよく知る「全身がルーズソックスのようにたるんだシワシワの姿」が作られたのです。
3. 【遺伝子的な理由】シワの正体はヒアルロン酸
科学的な研究によって、シャー・ペイのシワは「HAS2」というヒアルロン酸を作り出す遺伝子の突然変異であることが分かっています。
体内でヒアルロン酸が異常に多く作られ、それが皮膚のブドウ糖(ムチン)と混ざって皮膚の下に蓄積することで、あの独特な肉厚のシワが形成されています。人間のシワとは違い、水分が詰まった「ムチムチの折りたたみ」状態です。

深いシワと無愛想にも見える表情から怖そうな印象を受けるかもしれない。
しかし実際には飼い主に忠実で穏やかな性格の個体も多い。
独特な外見の裏に長い歴史を持つ、それがシャー・ペイという犬なのです。
今回の撮影は香川県白鳥動物園です。

