丑(うし)は、進まない干支ではない

日本神話・日本文化 / Japanese Mythology and Culture

牛と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは
「のんびり」「我慢強い」「動きが遅い」といった姿かもしれない。

十二支の中でも、丑はどこか地味だ。
前に出ることもなく、目立つこともない。

けれど本当に、丑は「進まない」存在なのだろうか。


ねずみの次に来る理由

十二支は、子(ねずみ)から始まる。
小さく、素早く、動き出す存在だ。

その次に置かれているのが、丑である。

もし十二支が「勢い」だけの物語なら、
もっと派手な動物が続いてもおかしくない。
それでも、丑が選ばれた。

ここに、昔の人の価値観がはっきりと表れている。


丑が象徴するもの

丑は、支える存在だ。

  • 荷を引く
  • 田を耕す
  • 毎日同じ歩幅で進み続ける

早くはない。
だが、止まらない。

丑の価値は、前に出ることではなく、
続けることにある。

始まりを動かしたねずみのあとに、
その動きを地面に定着させる役目を担う。
それが丑だ。


「丑」の文字が示すもの

「丑」という字は、
芽が土の中で結ばれ、まだ表に出ていない状態を表すと言われる。

外から見れば、何も起きていないように見える。
だが内側では、確実に力が蓄えられている。

丑は、結果ではなく過程の干支なのだ。


写真の牛が語ること

写真の牛は、伏せた姿勢をしている。
力を誇示するような角度ではない。
むしろ、じっと地面に重さを預けているように見える。

これは「休んでいる」のではない。
構えている姿だ。

動く準備を、黙って続けている。

丑の強さは、ここにある。


評価されにくい強さ

丑の仕事は、気づかれにくい。

  • うまくいっているときほど目立たない
  • 問題が起きたときに初めて存在が見える

それでも、丑は役目をやめない。

誰かが前に進めるように、
誰かが挑戦できるように、
足元を支え続ける。


丑の年に生まれた人へ

丑年は、派手な成功を約束する年ではない。
けれど、積み上げる力を持っている。

急がなくていい。
比べなくていい。

丑は、
「続けた人だけがたどり着く場所がある」
ということを知っている。


ねずみが動かした始まりを、
丑は大地に根づかせる。

十二支は、
勢いだけでは進まない。

このあとに続く干支のために、
丑は今日も、黙って歩いている。