魂が宿る指先。三次・辻村寿三郎人形館で出逢った「静かなる衝撃」

静寂の中に宿る、幼き帝の眼差し

昨日、広島県三次市にある「辻村寿三郎人形館」を訪れました。
館内は運良く私一人。贅沢なまでの静寂の中で、一体一体の人形とじっくり対峙することができました。

そこで私の足を止めさせたのが、この作品です。

この人形は、平家物語に登場する幼き帝、安徳天皇
わずか数歳で荒波に消えた悲劇の帝ですが、寿三郎氏の手によって吹き込まれたその表情には、幼さゆえの純粋さと、すべてを悟ったかのような神聖な静寂が同居しています。

「ちりめん」が織りなす、生身の温もり

特筆すべきは、その質感です。
伝統的な「ちりめん」を用いた肌の凹凸が光を柔らかく吸い込み、ファインダー越しに見ていると、今にも小さな溜息が漏れ聞こえてきそうなほどの生命力を感じます。

わずかに開いた口元から覗く金色の輝き、そして潤んだような瞳。
これこそが、世界を魅了する「寿三郎ドール(Jusaburo Doll)」の真髄なのだと肌で感じた瞬間でした。

言葉を超えて、世界へ届く「幽玄の美」

この写真は、歴史や背景を知らない海外の方が見ても、その圧倒的な「表現力」に息を呑むのではないでしょうか。
日本の伝統技法と、作家の魂が融合したこの芸術は、まさに「クールジャパン」の究極の形

誰にも邪魔されず、この眼差しを独り占めできた時間は、私にとってかけがえのない体験となりました。

皆さんは、人形の瞳に「魂」を感じたことがありますか?