
人は、斬られた瞬間に何を思うのだろうか。
理念か、恐怖か、それとも——
煩悩に満ちた、あまりに人間的な安堵か。

本作は、若き武士・遠藤盛遠を題材としている。
武士としての理想と、人としての欲。
その狭間で揺れ動く心は、やがて取り返しのつかない選択へと向かう。
斬られた首を手にしながら、
なお彼の表情には苦悶よりも、どこか恍惚が残っている。
それは解脱ではない。
だが、後悔とも言い切れない。
煩悩は、彼を地獄へ導いたのか。
それとも、一瞬だけ人間に戻したのか。
答えは、見る者それぞれの内側に委ねられる。
人形は語らない。
だが、沈黙の中にこそ、
人の業と弱さは最も雄弁に現れる。
煩悩に迷える若き武士、遠藤盛遠。
彼は今も、見る者の心を試し続けている。

