
平安〜鎌倉時代の装束には、現代ではほとんど知られていない独特な履き物が存在します。
今回紹介するのは、その中でも武官に関わる履き物――**「かのくつ(靴)」**です。
■ かのくつとは?
かのくつは、奈良時代(いまから1000年以上前)から見られる履き物で、特に五位以上の武官が礼服の際に用いたものとされています。
その後、平安時代以降は、武官が儀式や乗馬の際に着用する履き物として定着しました。
■ 見た目の特徴
今回の写真を見ると分かるように、特徴はかなり独特です。
- つま先が分かれた形状(足袋に近い構造)
- 黒い革製の本体
- 足首を覆う華やかな織物(錦)
- 金具で留める装飾的なデザイン
実用性というよりも、身分や格式を示すための装飾性が強い履き物であることが分かります。
■ どんな場面で使われたのか
かのくつは日常的な履き物ではありません。
主に以下のような場面で使われました。
- 宮廷での儀式
- 武官の正装時
- 乗馬(流鏑馬など)
つまり、衣装の一部としての意味合いが強く、
履き物もまたその人の立場や役割を示す重要な要素だったのです。
■ 現代との違い
現代の靴は「歩きやすさ」「機能性」が重視されますが、
かのくつはそれとは対照的に、
- 身分の表現
- 儀礼性
- 見た目の格式
といった要素が中心でした。
この違いを見ると、当時の社会がどれだけ形式や階級を重視していたかがよく分かります。
■ まとめ
かのくつは、単なる履き物ではなく、
武官の格式と役割を象徴する装束の一部でした。
普段あまり注目されない「履き物」からでも、
当時の文化や社会構造が見えてくるのは面白いところですね。
次回も、日本人でも意外と知らない履き物を紹介していきます。

