「あの日、空はとても大きかった ― 広島で見送ったANAジャンボ」

航空機 / Aircraft

1972年の千歳空港で見てから、2013年の広島空港へ

はじめてボーイング747、ジャンボジェットを見たのは、
1972年、小学校6年生の修学旅行だった。

行き先は北海道の道南地区 温泉で有名な洞爺湖 ここで宿泊。
次の日 千歳空港で目の前に現れたそのB747という飛行機は、
「大きい」という言葉では足りないほどの存在感を放っていた。

四発エンジン。
二階席を持つ独特のシルエット。
そして、空港の景色そのものを変えてしまうほどの大きさ。

子ども心に、「飛行機って、ここまで大きくなれるんだ」
そう強烈に刻み込まれた記憶は五十年以上経った今でも、はっきりと残っている。

I first saw a Boeing 747 in 1972,
when I was a sixth-grade student on a school trip to Hokkaido.

Standing at Chitose Airport,
I remember being overwhelmed by its size.
It was simply too big to understand.

Back then,
I learned that airplanes could be something extraordinary.

それから年月が流れ、
気がつけばジャンボジェットは、少しずつ姿を消していった。

効率の良い双発機が主流となり、
時代は静かでスマートな飛行機へと移り変わっていく。

それでも、
「ジャンボだけは特別」
そう思っていた人は、きっと少なくなかったはずだ。

More than forty years passed.

The world changed.
Airplanes became quieter, more efficient, and smaller.

And one day,
I found myself standing at Hiroshima Airport in 2013,
watching the same aircraft once again.

This time,
not as a child filled with wonder,
but as an adult preparing to say goodbye.


2013年11月17日。
広島空港の送迎デッキには、いつもとは明らかに違う空気が漂っていた。

カメラを構える人。
双眼鏡を手にする人。
子どもを肩車して、空を見上げる家族。

この日、ANAのボーイング747が、
広島の空にやって来ると聞き、多くの人が集まっていた。


タキシングする巨大な機体。
近くで見ると、やはり圧倒的だった。

そして離陸前、航空無線から聞こえてきた言葉。

管制塔に対し「長い間お世話になりました。さようなら」

その一言に、胸の奥が静かに締めつけられた。

それは、機長の言葉であり、乗務員全員の言葉であり、
そして、ジャンボジェットそのものの別れの挨拶のように聞こえた。

滑走路を駆け上がり、大きな機体がゆっくりと空へ浮かび上がる。

やがて雲の向こうへ消えていく姿を、多くの人が無言で見送っていた。

1972年、小学生のころ あれほど大きく見えた飛行機。

そして2013年、その「大きな存在」を見送る日が、まさか広島の地で訪れるとは思ってもみなかった。

ジャンボジェットは、
単なる輸送手段ではなかった。

空港に行く理由であり、
空を見上げるきっかけであり、
多くの人の記憶に残る「時代」そのものだった。

この日、
私は確かに、その時代の終わりを見届けたのだと思う。

Over the radio, I heard the words:

“Thank you for everything. Goodbye.”

At that moment,
the Boeing 747 was no longer just an airplane.

It was a memory.
It was a time.
And it was quietly leaving the sky.