山陰の小京都と呼ばれる津和野町。
派手な観光地ではないけれど、歩いていると、なぜか足取りがゆっくりになる町です。
殿町通り、掘割と鯉のいる風景

白壁と格子が続く通りの脇を、澄んだ水が静かに流れています。
掘割の中を泳ぐ鯉と、秋色に染まり始めた木々。
ここでは「見る」というより、「佇む」という言葉がよく似合います。
舗装された歩道や点字ブロックがさりげなく溶け込み、
昔ながらの景観と、今の暮らしが自然に共存していることに気づかされます。
町家と酒の気配

通りを進むと、瓦屋根の町家に吊るされた杉玉。
酒蔵の軒先には酒樽や一升瓶が並び、
この町が“人の営みの中で生きてきた場所”であることを静かに語っています。
観光向けに作られた演出ではなく、
今も続いている日常の延長線上にある風景。
それが津和野らしさなのかもしれません。
津和野藩の行政を支えた場所としての町

この一帯は、かつて**津和野藩の中枢が置かれていた場所でもあります。
現在も残る津和野町役場旧庁舎**は、
江戸時代から明治期にかけて、藩政・その後の行政を担った拠点でした。
城下町として計画的に整えられた通りや水路、
白壁と門構えの配置には、
「観光地になる以前の、統治と生活のための町」という側面が色濃く残っています。
歩いていると、景観の美しさ以上に、
この町が長い時間、機能し続けてきた場所であることが伝わってきます。

