酉(とり)は、告げるだけの干支ではない

日本神話・日本文化 / Japanese Mythology and Culture

とりと聞いて、多くの人が思い浮かべるのは
「朝を告げる」「目覚まし」「時間を知らせる」といった役割かもしれない。

鳴き声で存在を示し、
一日の始まりを知らせる。

十二支の中でも、
酉は分かりやすい役目を持つ存在に見える。

けれど本当に、
酉は「告げるだけ」の干支なのだろうか。


申の次に来る理由

未で受け止め、
申で試し、
世界は少しずつ形を整え始めている。

工夫し、
揺さぶり、
寄り道をしたあと。

そろそろ、
一度区切りをつける必要がある。

そこで置かれているのが、酉だ。

酉は、
整える役であり、
区切りをつける存在でもある。

広がったものをまとめ、
一日の終わりを示す。


酉が象徴するもの

酉が象徴するのは、
知らせる声ではなく完成

実り、
収穫し、
形として残すこと。

とりは、
ただ鳴いているのではない。

「ここまで来た」
「これで一区切りだ」

そう告げている。

酉は、
結果を引き受ける干支なのだ。


「酉」の文字が示すもの

「酉」という字は、
酒壺の形を表すと言われている。

中に溜めたものを、
静かに熟成させる器。

未から始まり、
申で揺らされてきたものが、
ここでようやく落ち着く。

酉は、
仕上げの段階の干支である。


写真のとりが語ること

写真のとりは、
同じ姿をした二体で並んでいる。

派手な動きはない。
羽ばたく様子もない。

それでも、
形は整い、
姿ははっきりしている。

このとりは、
何かを始めようとしているのではない。

終わらせ、整えようとしている

それが、酉の姿だ。


終わらせるという役割

酉は、
物事に区切りをつける。

それは冷たさではない。
切り捨てることでもない。

やりっぱなしにしない。
曖昧なままにしない。

ここまで来たことを認め、
一度手を止める。

酉は、
次に進むための終わりを担っている。


酉の年に生まれた人へ

酉年は、
整理を求められる年だ。

選び、
残し、
整える。

すべてを抱え込まなくていい。
必要なものだけを、
ちゃんと形にすればいい。

酉は、
「終わらせることも、前進だ」
ということを知っている。


ねずみが始め、
丑が支え、
寅が前に出て、
卯が広げ、
巳が内に収め、
辰が流れを起こし、
午が走らせ、
未が受け止め、
申が試したあと。

酉は、
そのすべてを一度まとめ、
静かに完成させる。

十二支は、
始まりの物語であると同時に、
終わらせる力の物語でもある。

酉は、
その要となる存在なのだ。