
山口県柳井市の名物として知られる「きんぎょ提灯」は、江戸時代後期にその起源を持つといわれています。
当時の柳井は、瀬戸内海に面した商業の町として栄え、白壁の町並みには多くの商家が軒を連ねていました。夏祭りや盆の時期になると、夜道を照らすために提灯が使われていましたが、柳井ではそれを金魚の形に仕立てたことが始まりとされています。
金魚は
- 水に強く生命力がある
- 夏を象徴する涼しげな存在
- 商売繁盛や無病息災の縁起物
といった意味合いを持ち、町の人々に親しまれていきました。
形と素材に込められた工夫
きんぎょ提灯は、竹ひごで骨組みを作り、和紙を貼って成形されます。
丸みのある胴体に大きな目、ひらひらとした尾びれという、どこか愛嬌のある姿が特徴です。
屋外に吊るされることを前提としているため、
- 和紙には耐水性を考慮した加工
- 雨水が溜まりにくい構造
など、実用性と景観美の両立が意識されてきました。
観光シンボルへ
昭和後期になると、きんぎょ提灯は柳井の「町の顔」として再評価され、
白壁の町並みを彩る観光資源として定着します。
現在では
- 夏の風物詩
- 柳井白壁の町並みの象徴
- 土産物や装飾品として全国に知られる存在
となり、季節を問わず軒先に並ぶ姿を見ることができます。
現在に受け継がれる理由
きんぎょ提灯は、単なる装飾品ではなく、
**「暮らしの中にある民芸」**として今も使われ続けています。
雨に濡れ、色あせ、やがて新しいものに替えられる——
その循環も含めて、柳井の町並みと共に生きてきた文化だと言えるでしょう。

