
ねずみと聞いて、好意的なイメージを持つ人は多くないかもしれない。
小さく、すばしこく、どこかずる賢い。
現代では、むしろ嫌われ者の代表格だろう。
それでも日本では、ねずみは十二支の最初に置かれてきた。
なぜ、あのねずみが一番なのか。
ねずみが一番になった理由
よく知られているのは、牛の背中に乗って一番に到着したという昔話だ。
ずるい話のようにも聞こえるが、昔の人はここでねずみを単純に責めてはいない。
早く動き、機会を逃さず、頭を使って生き延びる。
それは「卑怯」ではなく、生きる力だった。
ねずみが象徴しているのは、力ではなく知恵。
大きさではなく、始まりに必要な軽さだ。
「子」は始まりの文字
ねずみ年は「子(ね)」と書く。
この「子」には、赤子、種子、芽生えといった意味がある。
まだ形になっていないもの。
これから増え、広がっていくもの。
十二支の最初に「子」が置かれているのは、
一年や物事のスタート地点を表しているからだ。
ねずみは、その象徴として選ばれた。
繁栄の象徴としてのねずみ
ねずみは繁殖力が高い。
そのため昔から、子孫繁栄や財運の象徴とされてきた。
特に日本では、大黒天の使いとして描かれることが多い。
食べ物があり、米蔵が満ちている場所にねずみは集まる。
つまりねずみがいるということは、
そこが豊かで、暮らしが回っているという証でもあった。
置物に込められた意味を見る
写真のねずみも、どこか誇らしげな表情をしている。
小さな体に、文字や模様が描かれているのは偶然ではない。
干支の置物は、単なる飾りではなく、
「こうありたい暮らし」を形にしたものだ。
ねずみは、目立たなくてもいい。
先頭に立たなくてもいい。
それでも、始まりを動かす存在である。
ねずみから始まる一年
子年は、何かを始める年だと言われる。
それは大きな決断でなくてもいい。
小さく動くこと。
まず一歩踏み出すこと。
ねずみは、その大切さを教えてくれる。
十二支の物語は、ここから始まる。

